■新スタジアムに「牛の囲い場」」を
野球には「ブルペン」というものがある。ピッチャーたちがウォームアップをするために設けられたフィールド外のスペースだ。たいては外野席に観客席をえぐる形で設置され、金網のフェンスなどで覆われている。ただし屋根はない場合が多いようだ。
「ブルペンBullpen」というのは「牛の囲い場」という意味で、何やら野球選手たちが闘牛の牛扱いにされているようで気の毒だが、ウォームアップ場としてはスタジアム内の競技の進行の雰囲気を察しつつボールを使ってしっかりと準備することができ、理想的なような気がする。これから設計される新スタジアムがあったら、ぜひとも「ブルペン形式のウォームアップエリア」を検討・研究してほしいものだ。
だがそれができたとしても、一般化するまでには30年から50年は必要だろう。当面は、AFCのように大会マニュアルに入れるなど、運用面で対応するしかない。そして同時に、競技規則でも、一日も早く、「ウォームアップエリア」の考え方と、試合中のウォームアップ時の行動規範を明記すべきだ。
プロスポーツはピッチ内の競技そのものでファンを引きつけ、感動を与えるべきものだ。そして「ウォームアップエリア」に出たら、自分の体の準備に集中するのが、プロとして当然の振る舞いのはずだ。ピッチ上の仲間と一体になって戦いたいなら、ベンチに戻ってするべきだと、私などは思ってしまうのである。