■リーグも選手も輝くために

 この夏、「帰国パワー」でチーム強化を図ろうとしているのは浦和だけではない。京都サンガF.C.はFW原大智(24歳、2021年から2年半、クロアチア、スペイン、ベルギーで活躍)を獲得した。浦和レッズ加入の安部裕葵やこの原は「完全移籍」だが、浦和に戻ったDF宮本優太のように期限付き移籍期間を終えての「レンタルバック」というケースも近年増えてきた。

 FC東京サンタクララからFW田川亨介(24歳、2022年から1年半ポルトガルで活躍)の復帰を発表、名古屋はユトレヒトからFW前田直輝(28歳、2022年から1年半オランダで活躍)を復帰させた。さらに湘南ベルマーレはMF田中聡(20歳、2022年夏から1年間ベルギーのコルトレイクで活躍)、清水はパリ五輪代表のエース候補FW鈴木唯人(21歳、2023年1月からフランスのストラスブールで活躍)の復帰を発表した。 

 その一方で、今季のJ1で旋風を巻き起こしたアルビレックス新潟の攻撃的MF伊藤涼太郎(25歳)と、ガンバ大阪の左利きのボランチであり2024年パリ五輪代表候補MF山本理仁(21歳)の2人がベルギーのシントトロイデンに、横浜FCのエースストライカーFW小川航基(25歳)がオランダのNECナイメヘンに、湘南のワールドカップ代表FW町野修斗(23歳)がドイツ2部のホルシュタイン・キールに、そしてFC東京のMF安部柊斗(25歳)はベルギーのモレンベークに)移籍した。こうした選手以外にも、新たに欧州に渡る選手は何人もいる。

 彼らの挑戦が実り多いものであることを心から願う。しかし欧州で成功してもそうでなくても、その経験が将来のJリーグで再び生きることを期待したい。

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