Jリーグ成長のためにシーズン制以上に重要な「選手とクラブのメンタリティー」【Jリーグと選手のレベルアップに必要な「欧州との往“来”」】(3)の画像
今夏、町野ら欧州へ渡る選手も、Jリーグに戻ってくる選手も、新たな挑戦に臨むことに変わりはない 撮影:中地拓也

 30周年を迎え、Jリーグは進化を続けている。ヨーロッパへと羽ばたく選手は増えたが、次の段階に進むために必要なことがあると、サッカージャーナリスト・大住良之は考える。一方通行で「往」くだけではなく、戻って「来」るという、「往来」を活性化させることである。

■Jリーグ復帰も「挑戦」

 Jリーグから欧州のリーグに渡るのは、「挑戦」であると同時に「飛躍」のチャンスと呼んでいいかもしれない。しかし欧州からJリーグに戻るのは、けっして「零落」ではないし、何より大きな「挑戦」に違いない。世界(あるいは欧州)から見ればJリーグは「極東のリーグ」にすぎないかもしれないが、スコットランドで日本人選手を大量に獲得したセルティックが大きな成功を収めたように、Jリーグの日本人選手たちの活躍ぶりは、十分欧州のクラブの「視野」にはいるようになっている。

 私は、Jリーグと欧州のリーグの「往来」をもっともっと増やすべきだと思っている。実力を買われ、チームの戦力として望まれるなら、積極的に欧州のリーグに行くべきだ。そしてそこで力を発揮できなかったり、思うようなステップアップができないときには、迷わずJリーグに戻る検討をすべきだ。

 「往来」が活性化されることで、Jリーグのレベルアップが加速するだろう。もしかしたら、日本サッカー協会の技術部門が主張するように、そのためにはJリーグの「シーズン制」を変える必要があるかもしれない。だがそれが絶対的な条件とは思えない。重要なのは、「往来」を活性化させる選手とクラブのメンタリティーと考え方ではないか。

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