■「中洋料理」とは

 そんなわけで、ワールドカップ予選などで中東や中央アジア諸国を訪れる度に、僕は現地の料理を覚えました。僕は、中華などの「東洋料理」とヨーロッパの「西洋料理」の中間にある料理として、これらの国の料理を便宜的に「中洋料理」と呼ぶことにしていました。

 中東にはインド亜大陸出身の膨大な数の労働者がいますから、安い食べ物といえばインド料理でした。これも、「中洋料理」の一種です。

 たとえば、「ビリヤニ」というインド式の炊き込みご飯。これも、今では日本のインド料理店で食べることができますが、僕は中東に行くようになって初めて知った料理です。

 で、ニジニ・ノヴゴロドで「シャウルマ」は食べたのかって?

 いいえ、ニジニ・ノヴゴロドではロシア料理を楽しみました。目の前を滔々と流れるボルガ川。メインは、そのボルガ川で採れた淡水生のスズキのグリルでした。脂の乗ったその味は、淡水魚とは思えないふくよかなものでした。

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