後藤健生の「蹴球放浪記」第170回「中洋料理に舌鼓を打つ」の巻(2)中東が教えてくれた世界の食文化の画像
ニジニ・ノヴゴロドでのロシアW杯準々決勝入場券 提供/後藤健生

 サッカーとは人生であり、生活である。蹴球放浪家・後藤健生はサッカー取材で世界をめぐり、さまざまな生き方を目にしてきた。昔は日本では珍しかった「中洋料理」も、サッカーが教えてくれた。

■日本になかった食べ物

 僕が「シャワルマ」というものの存在を知ったのは、1990年代に入ってアラブ諸国を何度も旅行するようになってからのことです。最初は、1993年4月から5月にかけて、アメリカ・ワールドカップのアジア1次予選を観戦するためにアラブ首長国連邦(UAE)に行った時でした。

 今から30年以上前、日本にはもちろん「シャワルマ」はありませんでしたし、トルコ式の「ドネル・ケバブ」もあまり見かけませんでした。「ドネル・ケバブ」は、トルコ系の移民がたくさんいるヨーロッパでは、駅などでファーストフードの一つとして売ってましたから僕も知っていましたが……。

 だから、アラブ圏に行くようになった時に、僕は「ああ、(ドネル)ケバブのことをここでは『シャワルマ』というんだな」と思ったのです。

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