ワールドカップ・カタール大会で次々と強豪国を破り、日本中を熱狂させたサッカー日本代表。実は、中心メンバーとして活躍した三笘薫、田中碧、板倉滉、権田修一はともに、神奈川県川崎市に根差す町クラブ『さぎぬまSC』の出身だという。
三笘の7万部ベストセラー著書『VVISION 夢を叶える逆算思考』にも、"世界のMITOMA"と評価されるようになった原点である『さぎぬまSC』時代の秘話や同クラブで培った「メソッド」など、数多くのヒントが記されている。
そんな日本代表輩出の秘密を探るべく、さぎぬまSC代表・澤田秀治氏にインタビューを敢行。4人の幼少期のエピソードとともに、その知られざる裏側に迫る!
珠玉の全4回インタビュー。
■子どもを育てる“伝え方”
――三笘選手は、著書『VISION 夢を叶える逆算思考』の中で、さぎぬまSC時代に行っていた「ボールを止めて蹴る基本練習」と「コーンドリブル」が自身の原点と語っていました。やはり基本練習を重視しているのでしょうか?
そうですね。基本ができていないと応用はきかないと考えています。たまたまヘディングでゴールができた、足をふったらシュートが打てたというのではなく、基本技術をしっかり身につけて、サッカーのスピード感あるプレーに対応できるようにならなくてはなりません。そのために、クラブでは、小学校1年生から足もとで止めて蹴る、アウトサイド、インサイドでドリブルをできるようにする、利き足でないほうも同じようにドリブルができるようにするといったことを徹底させています。練習開始の15~30分は必ず基本練習で、そのあとにテーマを決めた練習に移るというのが伝統ですね。
――三笘選手が著書で言及しているように、「褒めて伸ばす」ことも大切だとか。
はい。何よりサッカーを楽しむことを大切にしているので、「褒めて伸ばす」指導を心がけています。スポーツは違いますが、メジャーリーガーの大谷翔平選手は、喜怒哀楽を前面に出して、野球を心の底から楽しんでいますよね。ああいうプレーができるサッカー選手を育てましょうというのが目標なんです。
人は必ずミスをするので、その時にどう伝えるかが大事になってきます。小学生は、シュートかセンタリングか分からないプレーをするんですが、その時、「中途半端なプレーをするな!」と叱るのではなく、「あれはシュートを打ったんだろ? あんな遠いところからよく打ったな。いい選択だったよ!」と伝えるようにしています。褒める点を探して、選手が自信を持てるような指導をしないと、試合でシュートを打つべきところで、委縮してしまうような子に育ちますから。そうなってしまったら、サッカーも楽しくないですし、もったいないと思うんです。