「利き足にこだわれ!」三笘薫の師・高崎康嗣氏インタビュー「世界的ドリブラーを作る足指の使い方」#3の画像
三笘薫 サッカー日本代表―ペルー代表 撮影:中地拓也

 ワールドカップ・カタール大会出場の立役者であり、“三笘の1ミリ”が世界的に話題となった三笘薫。世界を沸かせ続ける彼の代名詞“ドリブル”の原点は、ジュニア時代にあったという。そんな彼の少年時代に迫るべく、川崎フロンターレ・ジュニアの監督を務めた高崎康嗣元監督(※正式表記は高ははしごだか、崎のつくり上部は立)へのインタビューを敢行。三笘薫、久保建英板倉滉田中碧……のちの日本代表を多数育てた名監督は、当時を振り返り何を語るのか――。

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トップ選手ほど利き足を重視

――フロンターレでは、利き足を重視した練習をされたそうですが、それはなぜですか?

 当時のペップ監督率いるバルセロナを見たところ、選手はみんな逆足を使っていなかったんですよ。左右の足を器用に使う印象があるアンドレス・イニエスタ選手も、300回以上のタッチの中で、逆足は数えるほどしか使っていない。よくよく観察してみると、シャビ選手も同じで、世界中のトッププレーヤーは主に利き足だけを使っているんです。

 当時の日本は、幼少の頃から両足を使えるように指導していたので、その時に初めて、世界と日本のギャップに気づいたんです。考えてみると、利き足を重視するのはごく自然なことですよね?

 また、脳科学的に、利き足の訓練をすると、自然と逆足も鍛えられることが分かりました。利き足が上手な選手は、自然と逆足も使えるようになります。それに、伝えてみて分かったんですが、やはり得意な足だけに逆足と比べて、利き足の上達速度は比じゃありません。成長面でも効率がいいんです。

――利き足でうまく運ぶために、“指の使い方”が大切だとか。

 そうですね。利き足のアウトでボールを触る時、指を使うように伝えていました。親指の第1関節や小指の第2関節など、最初に“点”でボールを触るというのを徹底させて、それから、選手の感覚に任せる。そう伝えたらどんどん上手くなって、本人たちも「めったに相手にボールを取られなくなった」って自覚していましたね。どうしても上手くならない子は、逆足を鍛えてみるのも手です。中には、自分が思っていたほうと反対側が利き足だったということがありますからね(笑)。

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