■「優勝するチームというのは積み重ねが大事」

 それでも、札幌戦を見ていても分かる通り、4ゴール全てに顔を出すクレバーさや戦術眼を遺憾なく発揮している。加藤の2点目は香川の浅野雄也へのハイプレスから生まれたものだし、喜田の3点目も香川が右サイドでいったんタメを作って守備ラインを下げさせている。さらにダメ押しの4点目ループは自身の高度な技術が凝縮されていた。

 このクオリティの高さこそ、香川が世界トップレベルで体得し、セレッソに還元しつつあるものに他ならない。

「優勝するチームというのは積み重ねが大事。僕が2010年に行ったドルトムントもクロップ(リバプール監督)が3年目で下積みの準備があったわけで、着実8位・5位と順位を上げてきて、僕とかレヴァンドフスキ(バルセロナ)が入ってうまく融合して優勝した。(川崎)フロンターレや(横浜F・)マリノスにしても積み重ねやチームのフィロソフィー、どう前進していくのかっていう積み重ねが大きな結果につながってるんで、そういうところが重要になってくると思います」と香川は話していたが、小菊体制3年目のセレッソも2021年はYBCルヴァンカップ準優勝、2022年はリーグ5位・ルヴァン準優勝と着実に階段を駆け上がっている。香川というエッセンスが本格的に加わった後半戦はギアが急激に上がりそうな予感も漂っているのだ。

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