■酒井と長友の“次の選手”
前回のワールドカップのときのように「いざ」という場面が来れば、すぐ3バックに変更できるという自信があるのだろう。だからこそ、実績のある3バックを今は使っていない。
だが、そのために浮かび上がってしまった大きな問題点がある。それは両サイドバックをどうするかという点だ。
右の酒井宏樹は2018年と2022年、左の長友佑都は2010年から2022年まで日本の両サイドを任され続けてきた。しかしそれは、彼らを追い抜ける選手が台頭していなかったということも表している。この2人が抜けたことで、日本は両サイドバックの人材に不安があることが明らかになった。
代表チームは選手を育てる場ではなく、成果を出している選手を組み合わせて戦う場所だ。オリンピック・マルセイユやインテルでサイドバックを務められるクラスの選手が出てこなければ、この問題は解決したとは言えない。
菅原由勢は3月に続いていいプレーを見せていたし、冨安健洋はアーセナルでサイドバックを務めるが、それだけではまだ人材不足。このままではせっかく戦術の幅を広げようとして行っている4バックが裏目に出ることになる。
日本代表にとって救いなのは、2024年1月12日からカタールでアジアカップが開催されることだ。そこまでに台頭してきた、将来性に期待できるサイドバックがいれば、じっくりとコンビネーションを仕上げることができる。ただし、そこまでに適材が見つかれば、という前提付きだ。逆に言えば、今こそ日本人のサイドバックは張り切るべきときだと言えるだろう。
(取材・文/森雅史)