森保一監督はサンフレッチェ広島を率いていたときも3バックを採用していて、本来なら得意とする戦い方のはずだ。それなのになぜ新生森保ジャパンでは3バックではなく4バックを続けているのか。
取材で集めた関係者の話を総合すると、どうやら「森保監督は3バックが得意だからこそやっていない」ということのようだ。
4バックと3バックを比べたときに、3バックは個々の選手の役割がより明確になる。選手はやるべきことがハッキリするため頭を切り換えやすい。対して4バックはより様々な役割を周囲の選手と連携してこなさなければいけなくなるため、考えなければいけないことが多くなる。
代表チームは普通、そのときに集まることのできるメンバーでほとんど練習しないまま試合に臨まなければならない。そうなると役割がハッキリしている3バックのほうが簡単ということになる。だがそれでは戦術的な幅が広がりにくい。だから今はあえて4バックを採用することで選手たちにいろいろな連携を経験させ、戦術の幅を広げようとしている。
実際、今回の日本代表では、3人の選手の組でいろいろなアイデアを出させ、展開から突破、フィニッシュまで持ち込む、あるいはスローインからの突破を考えるというトレーニングがあった。考え方のヒントだけを与えて選手がイメージを膨らませるようにするという方法は、お互いの考え方を共有するという部分でも役立っていた。