■評価が難しいなかでの収穫は旗手

 ほとんどの時間を11対10でプレーしたため、6対0の大勝をそのまま評価することはできない。そのなかで収穫をあげるならば、4-1-4-1のシステムで左インサイドハーフを任された旗手怜央のプレーがあげられる。

 4-1-2-3とも言われたシステムで、旗手はときにダブルボランチのような立ち位置でアンカーの守田英正をサポートしつつ、左サイドの三笘と連携をはかっていった。三笘がタッチライン際から斜め後方へ下がってボールを受けると、パスの受け手となってフィニッシュへ持ち込む場面も作り出した。左サイド深くのスペースやポケットへもぐりこみ、ラストパスを供給するシーンもあった。

 カタールW杯までの4ー1-4-1(あるいは4-3-3)では、アンカーとインサイドハーフは遠藤航、守田、それに田中碧のトリオが最適解だった。そのほかに選択肢を持てなかった、と言うこともできた。

 しかし、22年3月以来の出場となった旗手は、CB、SB、ウイング、CFをつなぎ合わせるコネクターとして機能した。三笘という「個」を引き出すことについても、大いなる期待を抱かせる。

 4-1-4-1でも4-2-3-1でも、現在のチームは数種類ずつの組合せを持つことができる。旗手はインサイドハーフやボランチで力を発揮できるが、左SBでの起用も面白い。

 守備的な相手の攻略がポイントなるアジアでの戦いでは、ボールを持ち出すこともスペースへもぐり込むこともできる旗手の特性が生かされる。相手の攻撃を跳ね返しながら得点機をうかがう展開でも、守備でハードワークをしながら攻撃に関わっていけるはずだ。

 23年の日本代表の活動は、チーム全体の底上げと世代交代がテーマになる。11月からはW杯アジア2次予選がスタートするが、力関係を考えれば年内はテストに充てても問題ない。SBとCFについては、とりわけ候補者を積極的にテストしていくべきだ。

 エルサルバドル戦では上田が先発し、古橋が途中出場した。20日のペルー戦では、古橋により多くのプレータイムを与えたい。旗手の左SB起用にもトライしていいだろう。

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