■本来のスポーツのとらえ方

 ヨーロッパには「ユニバーサルアクセス権」という考え方がある。有料テレビやインターネット配信の視聴のためには料金や設備が必要だ。こうした諸費用を支払えない低所得の人たちも含めて、オリンピックやワールドカップのようなビッグイベントにはすべての国民が接することができるように、無料放送でも放映すべきだという考え方である。

 もともと、BBCのような公共放送が存在するヨーロッパではスポーツの中継というのはスポーツ団体が主催するイベントを客観的に中継するものであり、高額な放映権料などは設定されていなかった。そもそも、スポーツ団体は「放映されれば観客動員が減る」と考えており、テレビ放映自体に消極的だったのだ。

 一方、プロ・スポーツが盛んだったアメリカ合衆国では、放送局自体がスポーツイベントを主催、後援して開催することもあった。スポーツと放送の強力を通じてスポーツ界には高額の放映権料が入ったが、時には、テレビ局の都合でスポーツのルール自体を放映に便利なように変えてしまうことすらあった。

「ユニバーサルアクセス権」の考え方はヨーロッパ的な考え方と言っていい。

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