■FIFAの路線転換
だが、現在はヨーロッパ勢が放映権料の高額化に積極的なようである。
1974年にFIFA会長に就任したジョアン・アヴェランジェ(ブラジル)は、サッカーを商業化させた人物として知られている(あるいは“悪名”が高い)。
しかし、アヴェランジェ会長はワールドカップは公共放送をはじめとする無料放送で放映すべきだとして、在任中は放映権料を低額に抑えてきた。それが、サッカーという競技を世界に普及させることにつながると信じたからだ。
ヨーロッパ側は、当初はアヴェランジェ会長の商業化路線を批判していた。だが、1980年代以降の有料放送の登場と、それに伴う放映権料の高額化をビジネスチャンスととらえて、チャンピオンズリーグやEURO(ヨーロッパ選手権)の放映権料で巨額の利益を得たことで彼らの姿勢は大きく変わり、FIFAも放映権料ビジネスに乗り出すべきだと主張したのである。
1998年にアヴェランジェ会長が退くと、その後、ゼップ・ブラッター会長体制の下でワールドカップ放映権料はうなぎ上りとなっていった。
ジャンニ・インファンティノ会長が率いる現在のFIFA執行部も、この放映権料高額化のビジネス・モデルを引き継ぎ、今回は女子ワールドカップでも高額化(男子の10%程度)を目指そうとしているのだ。