■思い出す2005年のゲーム
キャプテンのイルカイ・ギュンドアンがトロフィーを掲げた時、ペップは表彰台に座ったまま両手を挙げた。
それから立ち上がると、トロフィーを見上げた。
オリンピック・スタジアムを出たのは午前3時を過ぎていた。
夜風が冷たいくらいだ。
もう、スタジアムの周りにはファンはいなかった。
すでに無料のシャトルバスでイスタンブール市内に戻ったのだろう。空っぽのタクシーが群れを成し、混とんとした渋滞の中で「タクシー、タクシー」とやたら声をかけてくる。
2005年にここでリヴァプールがミランを相手に大逆転優勝をしたときは、地下鉄やタクシーで街へ戻る手段がなく、ぎゅうぎゅうのリヴァプール・ファンのバスに乗せてもらってどうにか街の中心のタクシム広場まで戻った。
でも、タクシーに乗ったところで、これではほとんど動かないだろう。
地下鉄は動いているというので、駅に向かうことにした。