■目についた変化

 そして、これまでのミシャ式に比べて目を引いたのは、WBが最前線に上がったり、CBがサイドに開くタイミングが非常に早かったことだ。

 広島時代、浦和時代の「ミシャ式」では、ボールを保持してパスをつなぐ間に森崎和や阿部が下りてきて、機を見て森脇や槙野がタッチライン沿いを上がっていった。

 WBが最前線に上がるのも、このタイミングである。最初から5人が前線に並ぶ状態になってしまうと、かえって動きがなくなってダイナミックさを失ってしまっていた。

 柏戦は19時3分に札幌のキックオフで始まったのだが、試合開始から20秒くらいで岡本からのロングフィードがトップの小柏に渡っていきなり札幌がチャンスを作った。するると、その後もWBが高い位置に上がったままで、5人のアタッカーが並ぶ形を保ったのだ。

 そして、最終ラインの岡村やボランチの中村からは前線に向けて再三ロングボールが供給される。しかも、かなり速いボールだ。7分にはボランチの荒野が右サイドの深い位置に進出。そこから中央、そして左サイドとパスがつながって、L・フェルナンデスがクロスを入れて浅野がヘディングシュートしたがクロスバーを越える。

 そして、10分には左のCB菅からL・フェルナンデスにパスが入ったのをきっかけに分厚い攻撃が始まり、きっかけを作った菅が上がってきて相手ペナルティーエリア内の深くまでドリブルで進入。菅のクロスからのこぼれを拾ったL・フェルナンデスから駒井につながり、さらに駒井が落としたボールを荒野が決めて早くも札幌が先制した。

 その後、戸嶋のゴールで柏が追いついたものの、18分には札幌が2点目を奪って再びリードしたが、これも荒野から左サイドのL・フェルナンデスへの縦パスが通り、クロスを駒井が決めた速攻によるものだった。

 右サイドの金子もDFの田中とのコンビネーションを生かして攻撃の形を作り、最前線に上がったWBは札幌の攻撃をリードした。

(3)へ続く
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