日本のサッカーは成長を続けている。だが、発展の余地は、まだ大きく残されている。サッカージャーナリスト・大住良之は、最近のJリーグでの試合で、その「カギ」を見た。
■妥当だったレッドカード
今季日本サッカー協会の審判委員会は選手の安全を守るために「著しく不正なプレー」に対してレフェリーが断固たる態度を取る(しっかりレッドカードを出す)方針を打ち出した。しかしこの方針を、実際に足裏で相手の足に強く当たったり、強く踏みつけたという「結果」に出されるものだと勘違いしている人が非常に多い。
この湘南ベルマーレDF舘幸希へのレッドカードを扱ったネットの番組でも、そうした意見が支配的だった。
「左足は伸ばされ、足裏を見せているが、相手には当たっていない」
「主審には、左足の足裏が当たったように見えたかもしれない」
「そうなら、なぜVARは、『左足は当たっていない』と主審に伝えないんだ」
果ては、「勢いだけでこれがレッドカードになるなら、これまでのJリーグで何十も何百もレッドカードになるプレーがあった」というコメントまで出た。これは暴論だと思う。
だが、ルールに明確に書かれているように、相手の足に当たったかどうかは関係がない。相手の安全を脅かすようなプレーは、レッドカードの対象になるのである。松尾一主審の判定を、私は支持する。そしてもしこんなプレーが日常的に起きているのなら、それもレッドカードで対応すべきだと思う。そうしなければ、守備技術は上がらないし、サッカーの向上も望めないからだ。