■本当に強いのはどちらか?

 以上の結果、J3リーグの奈良クラブといわてグルージャ盛岡の両チームが完全ターンオーバーを実施した以外は、ほぼいわゆる“最強メンバー”で臨んでいたことが分かる。そして、ターンオーバーをした盛岡は4対0で勝利している。

 つまり、JFLのチームがJ3リーグ相手に大きく勝ち越したのは、ターンオーバーのせいではなかったのだ。

 ただ、ともに“最強メンバー”を組んだとしても、JFL側の方が天皇杯にかけるモチベーションが高いであろうことは容易に予想できる。とくに、Jリーグ入りを目指していないチームの選手たちにとっては天皇杯でJリーグ勢を倒すことは、大きな目標になるはずだ。

 一方、J3リーグのクラブにとっては同リーグを勝ち抜いてJ2リーグに昇格することが最大の目的となる。J3とJ2では、その位置づけに大きな違いがあるからだ(たとえば、来シーズンからはJ3リーグの試合はDAZNでの中継がなくなる)。

 さらに、今シーズンからJ3の最下位チームはJFLに降格することになる。J3加盟クラブにとって、JFLへの降格はクラブとして決定的な損失になるはずだ。

 従って、J3チームにとってはリーグ戦こそが唯一最大の目標となるであろうことは想像に難くない。

 とにかく、一般に思われているように「J3リーグこそが日本の3部リーグ」とは言い切れないことだけは間違いない。

 また、今シーズンのJFLは大混戦となっている。

 5月28日の第9節終了時点で首位のレイラック滋賀(勝点17)から11位の東京武蔵野ユナイテッドFCまでの勝点差が6ポイントしかなく、毎節のように順位が大きく入れ替わる。

 そして、試合内容も戦術的準備が行き届き、相手のストロングポイントをしっかり消す戦いが浸透し、今年のJFLは競技力もかなり上がってきているように感じる。

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