■重要な試合へのはいり方

 「前半は風が強く、試合をコントロールできなかった。しかし後半は風が弱まり、前にプレッシャーをかけることができた」。試合後、横浜FMのケヴィン・マスカット監督はそう話したが、前半の劣勢は風のせいだけでなく、明らかに横浜FMの「気迫負け」だった。この一戦にかけて万全の準備をしてきた名古屋に対し、横浜FMは漫然と試合にはいってしまった印象があった。

 さて、豊田スタジアムでの「名古屋×広島」では、後半立ち上がりのプレーで、名古屋が見事な集中力を見せ、逆に広島が「受ける」形になってしまったのは間違いない。そしてそれがそのまま試合結果につながった。

 「我々は後半も良いプレーを見せたと思う。ただ、2失点目だけが、若い選手が最後まで守るということを怠ってしまった。それ以外では、前半も後半も良いプレーができていた」

 広島のミヒャエル・スキッベ監督はそう語った。しかし広島の後半のはいりがやや「ぼやけて」いたのは事実である。一方がぼやけ、他方が集中力を高めたことで、試合は大きく変化した。ほんの一歩の差かもしれないが、それが10人ずつのフィールドプレーヤーの多くの選手で起こったら、形勢は逆転する。

(3)へ続く
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