5月13日にJ3のAC長野パルセイロと松本山雅FCによる「信州ダービー」が行われた。長野が2−1で勝利した一戦の試合終了直後の“盛り上がり”が再注目されている。
長野県の北東部に位置する長野市と中南部に位置する松本市。明治の廃藩置県以降、何度も県分裂論が沸き起こるほど対立が激しい地域をホームタウンとする両チームの対戦は、1万2000人以上の観衆とともに試合前から異様な雰囲気となっていた。
立ち上がりから攻勢に出たのは、ホームの長野だった。前半の8分と28分と決定機を作ると、同32分にCKの流れからDF秋山拓也がヘディングで先制ゴール。その後も長野が素早い攻撃を仕掛け、松本山雅が必死に耐える展開が続いた中、長野が後半34分に途中出場のFW山本大貴が追加点を決め、スタジアムは大歓声に包まれた。松本山雅も意地を見せ、後半アディショナルタイムにFW小松蓮が得点を決めて1点差としたが、反撃及ばず。長野が「信州ダービー」初勝利を飾った。
その白熱の戦いとともに話題となっているのが、長野のシュタルフ悠紀監督だ。試合終了のホイッスルが鳴ると同時に、力強く両拳を締めて歓喜の雄叫びを上げると、スタッフ陣と抱擁を交わす。その後も興奮状態のままベンチ前の選手たちと次々とハイタッチを繰り返したが、そこから一転、この試合の前半に負傷交代して松葉杖姿となっていたFW進昂平が涙を流している姿を見つけると、優しく包み込むようにして肩を抱いた。