■論点の中心を「日本サッカーの発展」に
秋春制移行についてはこれまで何度も議論されてきたが、そのたびに「秋春制維持」に落ち着いてきたという経緯がある。田嶋幸三会長をはじめ、日本サッカー協会は秋春制移行を希望しているようだが、豪雪地帯のクラブをはじめJリーグクラブの多くは春秋制維持の希望が強いのだ。
そんな中で再び秋春制移行の議論が出てきたのだが、その理由として「外部環境の変化」が上げられている。「ACLが秋春制になるから」ということなのだという。
しかし、ACLや今後AFCが発足させる新大会に関わるJリーグクラブはほんの数チームでしかない。しかも、グループリーグではJリーグ優先でターンオーバーをすることも多い。準決勝、決勝は別として、グループリーグではACLの試合には観客もあまり入らない。ヨーロッパのようにCL出場によってクラブの財政が潤うわけではないどころか、かえって負担になってしまうのが現状だ。
だから「ACLのために秋春制に移行」という論理には無理がある。秋春制のメリットはあくまでもヨーロッパのシーズンに合わせられることに尽きるはずだ。
秋春制移行に関しては「ACLのシーズン制変更」などではなく、純粋にJリーグの繁栄、日本サッカーの発展という視点に立って論議してほしいものである。