AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で、浦和レッズが決勝を戦っている。このアジアナンバーワンを決める大会は、Jリーグのクラブにもさまざまな課題を提示する。今後も見据えながら、サッカージャーナリスト・後藤健生が諸問題を考察する。
■違いすぎる環境
東西に大きく広がるアジア大陸で戦うためには、長距離移動や異なる気象条件に対応することが不可欠になる。互いの距離が近いヨーロッパ大陸での国際大会よりもはるかに負担が大きいのである。アフリカ大陸や南米大陸での大会も長距離移動を伴うが、両大陸は南北に広がっているのでアジアに比べて時差調整の必要が少ない。
そして、アジア大陸では気象条件の違いも大きい。
たとえば、第1戦が行われたリヤドでは試合開始時間でも気温が30度近くあり、湿度は10%台だったようだ。
乾燥した中での戦いも苦しいものだ。
僕はサウジアラビアには3度ほど行ったことがあるが、とくにアラビア砂漠の中央に位置するリヤドの乾燥度は想像を絶するものがある。
僕が1997年にキング・ファハド・インターナショナルスタジアムでサウジアラビア対クウェートの試合を観戦したのは9月だったので、昼間は気温が50度近く、夜でも30度を超す暑さだった。そして、空気が乾燥していたためにメモの用紙がパリパリと折れてしまいそうだったことを記憶している。
今大会の決勝戦は、当初は今年の2月に設定されていた。
もし、2月に開催されていればリヤドでの試合は気温としては快適だったはずだ。しかし、2月の埼玉スタジアムでの試合が行われていたら、寒さに慣れていないサウジアラビアの選手たちにとっては厳しい条件となっていたことだろう。