後藤健生の「蹴球放浪記」第158回「パレンバン上空で思い出した軍歌」の巻(2)突然頭の中で響いた「空の神兵」の画像
3位決定戦の入場券。グリーンの券はインドネシアでの試合 提供/後藤健生

 乗り物での移動も、サッカージャーナリストの仕事の一部である。蹴球放浪家・後藤健生は陸、海、時には空と、あらゆる空間を移動する。2007年アジアカップでは、忘れられない風景に出会った。

■飛行時間はわずか50分

 7月25日に準決勝が終わった翌日、僕はハノイからバンコク経由でジャカルタに移動しました。そして、28日の3位決定戦当日朝にパレンバンに向かいました。

 直線距離わずか300キロですから、エアアジアQZ7412便の飛行時間はたったの50分。離陸して上昇したと思ったらすぐに降下態勢に入ります。

 窓から下を見ていると雲の隙間からスマトラ島の風景が見えてきました。そして、パレンバンに近づくと、そこに石油精製基地が見えてきたのです。

 初めて来たパレンバンですが、それは見覚えのある光景でした。

 見たのは記録映画の中でした。

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