後藤健生の「蹴球放浪記」第157回「上下逆さまに捺された韓国ビザ」の巻(2)アウェイの洗礼を受けた韓国領事館の画像
上下逆さまの韓国ビザ。入出国スタンプも逆さまに捺してある 提供/後藤健生

 最初の感覚というのは大事なものだ。サッカーの試合でも、ファーストプレーが良ければ、うまく試合に入っていける。蹴球放浪家・後藤健生もファーストコンタクトを大事にする。海外取材に出る前に、その国の歓迎度を測る方法が存在するのだ。

■親切なイラン大使館

 1997年に初めてイランに行った時にも、イラン大使館で歓待されました。

 申請書を提出すると、別室に連れていかれて担当者が面接をするのです。まず、渡航目的などを聞かれます。僕の目的はワールドカップ・フランス大会の1次予選、シリア対イラン戦の取材でした。

「そうか、この時期のイランではナッツ類が美味しいから、楽しみにしていなさい」といろいろなナッツやレーズンを持ってきて勧めてくれました。アルコールは禁止のイスラム国家(正式国名はイラン・イスラム共和国)。アルコール以外の嗜好品はとても大事にされるようです。

 シーア派の指導的立場にあるイランと対立しているのが、聖地マッカやマディナの守護者を自負するスンニ派王国のサウジアラビアです。この国には、つい数年前まで観光ビザというものがなく、入国するには現地の企業や政府機関などの招待が必要でした。

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