■ソウルでの完敗
再びソウルに行ったのは、１９８５年１１月メキシコ・ワールドカップ最終予選の時です。日本は韓国に勝てばワールドカップ本大会に進出できるところまで来ました。しかし、東京・国立競技場での第１戦では木村和司の伝説のＦＫで１点を返したものの１対２で敗れた日本代表。ソウルでは２点以上を取って勝たなくてはならない試合でした。
この時も、領事館でもらったビザを見てみたら、なんとビザのスタンプが上下逆さまに捺してあるではありませんか！ 「なんだい、こりゃ。まだ、あいつらは無能なのか」と思いましたが、実はこの時は「心当たり」もありました。
というのは、１９８５年の１次予選の北朝鮮戦のために、僕は４月に北朝鮮の平壌（ピョンヤン）を訪れていたのです。つまり、ビザを上下逆さまに捺してあるのは「こいつは“北”に行ったことがある奴だぜ」というサインなのかもしれないと思ったのです。
まあ、いずれにしても韓国には何事もなく入国できました。ちなみに、日本代表は第２戦も０対２で完敗。ワールドカップ初出場は、１２年後のフランス大会まで待たなければいけなくなりました。
