ウルグアイ戦とコロンビア戦で日本代表の攻撃が機能しなかった理由【日本サッカー界が取り組むべきサイドバック問題】(3)の画像
日本代表で好プレーを見せた菅原 写真:中地拓也(双葉社/JMPA代表撮影)

 現代のサッカーにおいて、サイドバックの重要性は増している。Jリーグにも個性的なサイドバックはおり、チームにも大きな影響を与えている。日本代表にも通ずるテーマであるサイドバックの扱い方について、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■J2でもサイドバックが得点

 さて、J2リーグでは“絶対の昇格候補”と思われていた清水エスパルスが第7節まで未勝利と出遅れる一方、FC町田ゼルビアが6勝1分で首位を走り、東京ヴェルディ大分トリニータが勝点3の差で追う展開となっている。町田と東京Vは、7試合を終えて失点がそれぞれ1点ずつという堅守を誇るチームだ(東京Vは、テクニックのある選手をそろえて攻撃的サッカーをするのがチームカラーなのだろうが、今シーズンは城福浩監督がハードワークすることをテーマに堅守型のチームを作ってきた)。

 J2リーグ第7節の大宮アルディージャ戦でも、東京Vは「ウノゼロ」で勝利した。

 大宮がサイドからのクロスを生かして攻勢に立ったのだが、東京Vの堅い守備がそれをことごとく跳ね返し続け、前半の終盤から前線でプレスをかけて大宮の攻め手を封じ、後半から右サイドハーフにバスケス・バイロンを投入して攻撃への橋頭保を作って攻撃に転じた。

 そして、65分にそのバスケス・バイロンが戻したボールを右サイドバックの宮原和也がファーポストへのロングクロスとすると、攻撃に上がってきた左サイドバックの深澤大輝が相手DFの背後からジャンプしてヘディングで決めた。

 この深澤も、もともと非常に攻撃的なサイドバックで、左サイドハーフ(この試合なら梶川諒太)を追い越して攻め上がる。いや、梶川はサイドに張るタイプではないので中に入ることが多く、左タッチライン沿いは深澤のゾーンのようだ。また、深澤はインナーラップをしかけて相手陣内深くでパス回しにも絡み、またゴール前まで攻め上がることも珍しくはない。

 このように、3月31日から4月2日にかけての週末だけでもサイドバックによるゴールがいくつも生まれている。つまり、「サイドバックの攻撃参加」というのは、今ではJリーグではすでに標準的なプレーになりつつあるのである。

  1. 1
  2. 2
  3. 3