■ワントップの問題
川崎の鬼木達監督は、今シーズンの新機軸の一つとして、右SBの山根視来がボランチの位置に入って橘田健人とツーボランチとしてプレーするという「可変システム」を採用した。
実際、横浜FMとの開幕節では山根のボランチは機能していた。昨年まで、アンカー1人で戦う試合でアンカーの両脇のスペースを使われてピンチを招く場面が何度もあったが、山根をボランチの位置でプレーさせることによって、攻撃面での厚みを増すとともに、中盤での守備も安定させることができる。
だが、最終ラインの顔ぶれが固定できずに不安定な状態では、山根がそう頻繁にポジションを変えることが難しくなってしまう。実際、湘南戦では相手にボールを握られる時間が長かったこともあって、山根がボランチのポジションに入る場面はあまり作れなかった。
さらに、川崎を苦しめているのは、ワントップに入るべきレアンドロ・ダミアンや小林悠が負傷で離脱していることだ。
代役として、22歳の宮代大聖が先発で起用され、同じ22歳の山田新が交代で使われている。ともに成長株でもあり、起用されればその特長を発揮してはいるが、ワントップでボールを収めてチーム全体の攻撃を機能させることはまだできていない。昨年まで、レアンドロ・ダミアンや小林悠の代役として活躍していた知念慶は鹿島に移籍し、古巣川崎との試合で先制ゴールを決めている。
CBとトップというチームの中軸となるべきポジションが固定できないのは、チーム編成上非常に苦しい状況だ。