■訛りが強い!
EUROの観戦が目的で来ているのですからヨーロッパ人だろうとは思うのですが、EUROにはヨーロッパ人以外も来ています(現に、こちらのコンパートメントは日本人の記者やカメラマンが何人か乗っています)。もしかして、アラビア語……?
気にしなければ何でもないのですが、こういうことは一度気が付いてしまうと気になって気になって、それこそ夜も眠れなくなってしまいます。
そこで、僕はトイレに行ったときに、ついでに隣のコンパートメントの中を覗いて確かめてみました。
すると、そこにいたのはスイスのサポーター連中でした。スイスは予選で敗退してしまってこの大会には出場していませんでしたが、彼らはスイスのユニフォームを着ていたのですぐに分かりました。
つまり、“謎の言語”はスイス訛りのドイツ語だったのです。
ご承知のようにスイスではドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つの言葉が公用語として使用されています(ほとんどのスイス人は英語も話します)。
しかし、「ドイツ語」といっても、ドイツ連邦共和国で話されているドイツ語とはかなり違うのです。文語としては共通語を使っていますから、本や新聞などは標準ドイツ語が使われているのですが、話し言葉はかなり訛りがあるスイス方言というわけです。