後藤健生の「蹴球放浪記」第151回「ルクセンブルク語というのがあったんだぁ」の巻(1)スイスのサポーターが話していた謎の言葉の画像
バーゼル対ストラスブールの記者入場券。券面は標準ドイツ語 提供/後藤健生

 世界中で、さまざまな言語が使われている。ドイツ語やスペイン語を解する蹴球放浪家・後藤健生にとっても、時には初めて出会う言語もある。サッカーの試合前のアンセムが、そのきっかけになることもあるのだ。

■いったい何語?

 それは、2012年のヨーロッパ選手権(EURO)の時でした。6月23日の夜、僕はポーランドの首都ワルシャワから夜行列車に乗ってウクライナの首都キーウに向かいました。キーウでは翌24日に準々決勝のイタリア対イングランド戦が行われます。

 真夜中になっても、隣のコンパートメントでは若者たちが大騒ぎを続けていました。「うっさいなぁ」とは思いましたが、まあ、安眠妨害というほどではありませんでした。そして、ふと気が付いたのです。

「ありゃ、あいつらしゃべってるの何語なんじゃい?」、と。

 英語とか、フランス語、ドイツ語、スペイン語といったメジャーな言葉ではないようです。東欧圏内を走っているので「スラブ語系の言葉かな?」とも思いましたが、どうもそうでもなさそうです。

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