大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第106回「ファミリー・ヒストリー サッカーアルゼンチン代表マカリスター」(2)プロ選手からスポーツ長官へと転身の父の画像
名前はマカリスターとあるが… 提供/大住良之

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、スコットランド人? アイルランド人? いやアルゼンチン人!

■マカリスターのルーツ

 アルゼンチンで「マカリスターMac Allister」という名字は珍しい。「マック」といえばスコットランドではないか?

 「文春新書」に『人名の世界地図』という便利な本があって、世界中の名前について解説してある。そこには「マクドナルドMcDonaldやマッカーサーMacArtherのように、マック(Mc、Mac)のついた姓であれば、スコットランド系だということがわかる」と書いてある。そして「マックとはスコットランドの高地ゲール語で『~の息子』を意味する」と解説されている。

 スコットランドの「Mac」に対し、アイルランドでは「O‘」がつくというのが一般的な常識だ。『風とともに去りぬ』の主人公スカーレット・オハラ(O’hara)の例がすぐに浮かぶ。これも「~の息子」の意味だ。しかし実際には、アイルランドでも「マック」のついた名字をもつ人も少なくない。そしてアレクシス・マカリスターも、アイルランドに根をもつ人物だった。

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