■得点以外のFWの仕事
前半のシュート数は湘南が15本で横浜FCが5本。逆に、後半は横浜FCが12本のシュートを放ったのに対して、湘南は5本。つまり、前後半でまったく形勢が逆転したゲームだった。「点を取り合って引き分け」というのは妥当な結果だったろう。横浜FCはあのオウンゴールがなかったら勝利できていたかもしれないし、逆に湘南にとっては小川の同点ゴールが生まれた直後の85分に町野が倒されて得たPKがVARによるオフサイド判定で取り消された場面もあった。
横浜FCは前半にミスパスが多すぎて前にボールを運べなかったし、逆に湘南はせっかくの前半のリードを生かすためにゲームを落ち着かせることができなかった。さらに、両チームともバタバタする時間もあって、上位進出のためにはさまざまな課題が見えてきたゲームだった。だが、全体として締まったゲームになったのは、両チームのエース・ストライカーが真価を発揮したからだろう。
鮮やかな得点場面はサポーターに大きな喜びをもたらすし、得点にならない場面でもゴール前でしっかりとボールを収めることができるFWがいると、攻撃のバリエーションが増えてゲームは圧倒的に面白くなるのである。