■大いに荒れた試合
審判から何も見えず、観客も白いカーテンの向こうにいる選手がほとんど見えない状況のなか、試合は大荒れになった。互いに相手のラフプレーを非難した。ひどいファウルをした選手が処分を逃れるために霧のなかに消えてしまい、そのままになったこともあった。
親善試合のため、交代も頻繁に行われた。だが後半のある時点でアーセナルが「相手は12人いる」とアピールしたのは、前代未聞のことだった。選手を数えてみると、たしかに12人いた。退出するべき選手がピッチ外に出ないまま、新たな選手がはいっていたのだ。
ひとりを引っ込めて試合は再開されたが、アーセナルはそれで均衡を取り戻したわけではなかった。FWのジョージ・ドゥラリーが退場処分となり、再び「数的劣勢」を余儀なくされたのだ。
スコアも終盤まで3-3と大荒れだったが、最後に勝利を手中にしたのはディナモだった。ボブロフが抜け出し、4点目を決めたのだ。アーセナルの選手たちはボブロフが数メートルも前に出ていて完全にオフサイドだったと激しく抗議したが、主審はもちろん、線審も確認などしようがなかった。ディナモ・モスクワはこの後グラスゴーでレンジャーズと対戦、2-2で引き分けて無敗で帰国の途についた。