■「なんてこった!」

 バートラムの想像は無理もないことだった。チャールトンは前年に2部から1部に昇格していきなり2位の好成績を挙げ、このシーズンも上位争いに加わっていた「強豪」だったからだ。一方のチェルシーは低迷期にあり、リーグ中位がいいところだった。

 さて、バートラムの視野から両チームの選手たちが消えてからだいぶたって、濃霧の中から突然ひとりの男が現れた。驚いたことにそれは警官だった。ゴール裏からくるならわかるけど、なんでピッチの中に警官がいるんだ!? バートラムは混乱した。すると警官は大きな声でこう言った。

 「なんってこった! きみはここで何をしてるんだ!」

 「試合は15分も前に終わっているんだぞ。ピッチにはもう誰もいない」。警官はそう続けた。

 ようやくバートラムが更衣室に戻ると、選手の多くはすでにシャワーを浴びて私服に着替えており、彼の姿を見ると腹をかかえて大笑いしたという。

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