■寂しい観客数

 さて、これだけハイレベルの決勝戦だったのだが、当日の観客数はわずか1939人だった。日本の女子サッカーの現状を表した数字だとも言える。

 観客が少なかった理由の一つは寒さにあったのかもしれない。

 公式記録の気温は7.2度。試合中は日差しに恵まれたものの、天気予報によれば午後から雨か雪の予想もあり、試合開始前には実際に霰が降ってきた。試合が面白かったにせよ、寒さの中での観戦はやはり厳しい条件だ。

 WEリーグは、ヨーロッパと同じく“秋春制”で開催されている。2022年10月に開幕したシーズンは、1月から3月までの中断期間を経て6月まで続く。まだ暑さの残る時期にはWEリーグカップも開催されるが、これはプレシーズン的な大会。リーグ戦は寒さの厳しい時期に激しいバトルが展開される。そして、12月から1月にかけて、皇后杯が開催される。

 WEリーグ創設前は「なでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)」が日本のトップリーグだったが、リーグ戦は春秋制で、施設の関係で夏場の猛暑の時期でも女子リーグは昼間の開催が多く、酷暑の中での試合が多かった。

 そんな暑さの中だったことも、運動量が少なかった原因だったのかもしれない。そして、テクニック重視のサッカーが主流だった。しかし、WEリーグが秋春制で開催されるようになったことで寒さの中の試合が増え、その結果として走力を生かす試合が多くなってきたのかもしれない。

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