■サッカーに同じ試合はない
2026年までの道のりが平坦だなどとは、とても思えない。2018年からの4年半がそうだったように、まったく予想もつかない苦難が次々と襲ってくるに違いない。これまでの森保監督は、どんな状況でも常に謙虚に人の意見に耳を傾け、関係する人びとと濃密にコミュニケーションを取り、そして勇気をもって決断して道を切り開いてきた。そうした人間性、リーダーとしての能力が、これからの3年半でも大きな力になるだろう。
森保監督にひとつだけ言いたいのは(百も承知だろうが)、「サッカーに同じ試合はひとつとしてない」ということだ。過去4年半でうまくいったことが、これからの3年半でも再び通用するとは限らない。サッカーの監督とは、常に視野を広く保ち、何よりも「いま起こりつつあること」を豊かな想像力を駆使して洞察し、その都度、過去の成功をなぞるのではなく、創造性に富んだ対応をしなければならない仕事だ。
2022年大会で、森保監督は、その想像力も創造性も備えていることを示した。
日本代表に8年間という近年にない「長期政権」が敷かれ、「森保イズム」が日本の伝統となるまでに浸透して、2026年ワールドカップが終了したとき、日本サッカーがこれまでにない高みに昇っていることを期待したい。