■「自分がここで点を取ると信じてやってきた」

 グループステージ初戦のドイツ戦で、田中はダブルボランチの一角に指名された。遠藤航とのコンビは、昨夏の東京五輪でも見られたものだ。信頼に足る組合せだが、ファーストチョイスではない。守田英正の離脱によるプランBだった。

 コスタリカとの第2戦では守田が復帰し、遠藤のパートナーを務めている。4-3-3では遠藤、守田とともに中盤を構成した田中だが、主戦術が4-2-3-1へ戻るとバックアップの立場となり、3-4-2-1でもそれは変わらなかった。スペイン戦でスタメンに復帰したのも、遠藤がコスタリカ戦で負傷したことによるものだった。

「ケガ人が出ていろいろあってチャンスをもらっている、と思われてもしょうがないですけど、自分が出ている以上、結果を残してポジションを勝ち取りたいですし、いまこの状況ですごくうまくなるかと言ったらそうじゃない。そう考えると、目に見える結果を残すのが一番手っ取り早い。それを残せたのは良かったですし、自分がここで点を取ると信じてやってきたし、ずっとイメージしてやってきたので、それを現実にすることができて、自分がやってきたことが少しは報われたのかなと思います」

 スペイン戦のゴールは、日々の積み重ねが裏づけとなっていたのだ。

「シンプルに自分の人生が少し報われたというのはありますし、でも、報われたのは一瞬のことで、自分がやってきたことすべてが報われたわけではないのも事実なので。W杯で点を取れたのは一瞬のご褒美だと思うので、こういうのを積み重ねていってまた、自分がよりいろんなものを手に入れられるんじゃないかなと思います」

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4