■カタール独特の設備
どこも最新の設備と個性にあふれた外観をもち、サッカー専用で試合も非常に見やすい。日本のドイツ戦とスペイン戦の会場であるハリーファ国際スタジアムだけは「元陸上競技場」で、ピッチの周囲が広いが、観客席が急傾斜になっているのでスタンドに座るとそう違和感はない。当然、屋根の観客席カバー率は100%。アルジャヌーブ・スタジアムには、開口部を覆う日よけのためのテントが引き出せる装備が施されていた。
世界のどの国にもないのが「スタジアム冷房」だ。近くの施設の熱循環システムで冷水をつくり、それをスタジアムに送り込んで冷やした空気をピッチや観客席に供給しているのだ。それによってピッチ上の気温は18~20度。観客席も24~26度程度に保たれている。11月の日中はまだ30度を優に超すドーハだが、スタジアム内は非常に快適。ときに寒く感じることさえある。
こうした共通要素はあっても、やはりスタジアムには優劣がある。私はスタジアムを評価するときには、「試合の見やすさ」「屋根の有無」「快適さ」「アクセス」「デザイン」などの要素を考えるが、大会運営の努力でアクセスがどこも悪くないなか、多くのポイントでは優劣がつけがたく、決め手になるのは見た目、「デザイン」ということになる。