■スポーツカーから手を振ったロナウド

 2人の性格がまったく対照的なのが面白かった。

 クアレスマは内気な性格のようで、モジモジとしながら小さな声で淡々と話す。もともと、リスボンの下町の育ちだということだった。ロマ人という生い立ちもあるのだろうか朴訥な印象を受けた。

 一方のロナウドの方は、これは本当に快活な少年だった。「生まれがマデイラ島なので周囲からは訛りをからかわれるんだ。困ったもんだ」と言いながらも、明るく自分の生活や考えについて雄弁に語ってくれた。

 どんな話をしたのかは、今となっては記憶が判然としないが、当時の日本では右利きの選手は右サイド、左利きは左サイドで使われることが多かったので、その話をしたら「なんで?」とロナウドが目を丸くして驚いていたことにこちらも驚いたことを覚えている。

 インタビューを終えて、リスボンに帰るためにアカデミアの前で車を待っていたら、颯爽と真っ赤なスポーツカーに乗ったロナウドが、こちらに向かって手を振りながら笑顔を振りまきながら通り過ぎて行った。「とにかく、明るい奴」という印象の青年だった。

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