■薬が持つ副作用
そんな状態が5、6日続いたある日のこと、ナイジェリアで日本チームの練習を見に行った時にチームドクターと雑談をした時のことを思い出したのです。マラリアの薬の話になって、ドクターは「錯乱とか幻視といった精神系の副作用もある」という話をしてくれました。
メフロキンというのは大変に強い薬のようで、肝機能障害など内臓系の副作用も多いそうですが、精神・神経系の副作用も強く、なんと自殺率が高いんだそうです。ベトナム戦争でマラリアに悩まされたアメリカ軍が創薬に関係した薬のようですが、アメリカ軍でも退役後に自殺する兵士が多く問題になったそうです(だから、日本ではこの薬は購入できなかったのです)。
そのドクターの言葉を思い出した僕は、メフロキンの服用を中止してみました。
マラリアに罹っていたら大変ではあったのですが、しかし、自我の崩壊を防ぐことの方が大事だと判断しました。
すると、どうでしょう! さまざまな症状は本当に驚くほどあっさりと、きれいさっぱり消え去りました。
人間の脳、人間の意識というのは化学物質によってこんなに簡単に影響を受けてしまうものなのか! 恐ろしいことだと、僕は思いました。