■廃人になってしまう!?
こうして無事にナイジェリアに到着。
底に水がたまったままのグラスで水を飲むはめに陥ったりしたこともありましたが、それでもA型肝炎に罹ることもなく、決勝戦でフィリップ・トルシエ監督の日本代表がスペインに敗れて準優勝に終わったのを見届けて、無事に帰国することもできました。
メフロキンのおかげか、マラリアにも罹らずに済みました。
で、スキポール空港の医務室の医師に言われた通り、帰国後もメフロキンを1週間に1錠ずつ飲み続けていたのです。
帰国後しばらくすると、異変が起こりました。
最初はちょっとした鬱状態でした。しかし、1日ごとに症状は悪化したのです。体がだるい、やる気が起こらない、気分が憂鬱だ……。最初は、そんな症状でした。
しかし、時間とともに症状は進んでいきました。「憂鬱である」という気分そのものが消え去っていくのです。「だるい」とか「疲れた」とか感じる自分というものが消滅していくのです。まさに、自我が消えていく……。そんな症状でした。
「ああ、僕はこのまま廃人になってしまうのだろうか……」。
しかも、その原因も分かりません。