ワールドカップが11月に開催されるため、通常とは異なる日程となった2022年のJ1リーグが幕を閉じた。最終節までタイトルレースが展開されたが、そこに至るまでの道のりにも見るべきものはあった。サッカージャーナリスト・後藤健生が、今シーズンのJ1を振り返る。
■選手層に悩みを抱えた川崎
リーグ戦3連覇を狙った川崎フロンターレは、“選手層の厚さ”という面で横浜F・マリノスに敵わなかった。
守田英正をはじめ、三笘薫、田中碧、旗手怜央といった日本代表クラスの選手が次々と海外移籍を決めてチームを離れていった。そして、川崎らしい攻撃の中心として期待される大島僚太は負傷が続いて、今シーズンの出場試合数はわずかに11試合にとどまってしまった。
昨シーズン急成長した脇坂泰斗、橘田健人や新加入のチャナティップあたりにそうした選手の代役としてのプレーを期待したが、やや力不足。そして、昨シーズンはJ1得点王となるとともに、前線からのプレスで大きく貢献したレアンドロ・ダミアンもコンディションが上がらず、リーグ戦終盤は故障で戦列を離脱。
さらに、守備の中軸であるジェジエウをはじめ、守備陣に負傷が相次ぎ、なかなかメンバーがそろわなかった。そして、その不在となった選手の穴をふさぎきれず、さらに新型コロナウイルス関連で選手を揃えることができずに、GK3人をベンチ入りさせる試合があるなど、不運も重なった。
結局、今シーズンの川崎を支えたのは36歳になった家長昭博をはじめ、小林悠、谷口彰悟、鄭成龍(チョン・ソンリョン)といったベテランたちだった。