■特筆すべき得点力の内訳
34試合で横浜FMが決めたゴールは70。昨シーズンの82得点には及ばないものの、2019年に優勝した時の68ゴールを上回っている。
また、このチームで興味深いのは得点者が特定の選手に偏らないことだ。
J1リーグの得点ランキングではレオ・セアラとアンデルソン・ロペスが11ゴールで6位タイ、西村拓真が10ゴールで8位タイに入っているが、これだけの攻撃力を誇り、実際リーグ最多の70ゴールを決めたチームに得点王を争う選手がいなかったというのは特筆すべきことだろう。
2019年に横浜FMが優勝したシーズンも、マルコス・ジュニオールと仲川輝人の2人が15ゴールずつを決めて得点王を分け合ったことを考えても分かるように、多くの選手が点を取るのはこのチームの場合、けっして偶然のことではない。
つまり、サイドからのクロスに対して合わせるのは中央に構えているCFだけでなく、逆サイドから詰めてくるサイドアタッカーもクロスに合わせて点を取るというメカニズムが機能している。だから、このような現象を引き起こすのだろう。2021年シーズンに川崎のレアンドロ・ダミアンと得点王の座を分け合った前田大然(現セルティック)も、CFではなく左サイドを任されることが多い選手だった。