■スタイルを確立している横浜FM

 まず、J1リーグの優勝争い。結果としてはきわめて順当なものとなった。

 ここ数年、日本のサッカー界では横浜F・マリノスと川崎フロンターレの“2強体制”が続いている。なにしろ、2017年シーズンに川崎が初優勝を決めて以来、川崎が4度、横浜FMが2度マイスターシャーレを掲げており、神奈川県のこの2つのクラブがリーグ戦のタイトルを独占しているのだ。今シーズンも準優勝の川崎と3位のサンフレッチェ広島の勝点差は11ポイントもあり、両チームの力は他の追随を許さないものだった。

 残り4試合となった段階で横浜FMがガンバ大阪、ジュビロ磐田というともに残留争いの渦中にある下位チームにホームで連敗し、川崎に勝点2差まで追い上げられたが、それでも今シーズンの最強チームが横浜FMだったことは間違いないだろう。

 右サイドでは33歳のベテラン、水沼宏太が完全復活。いや、“復活”というよりは水沼にとって今シーズンはキャリアの中でも最高のパフォーマンスだった。

 そして、この水沼や左サイドのエウベルなどがサイドを崩して、早めにクロスを入れてレオ・セアラやアンデルソン・ロペスなどが決めるという横浜FMの攻撃の型が機能し続けた。

 横浜FMは、試合前のウォーミングアップを見ていても、それぞれの選手が本来のポジションに近い位置に付いてクロスに合わせる練習をたっぷり行う。まさに、アンジェ・ポステコグルー監督時代から築き上げてきた横浜FMのスタイルがしっかりと根付いているのだ。

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