■落ちなかったチーム力

 横浜FMが優勝に相応しい理由の最大のものは選手層の厚さである。

 DF陣でも永戸勝也や20歳の角田涼太郎。あるいは、センターバックとボランチを兼任する岩田智輝といった選手が台頭し、松原健畠中槙之輔といった前回優勝時の立役者を追いやるほどの活躍を見せる。

 中盤でも20歳の藤田譲瑠チマが急成長。24歳になった渡辺皓太もチームに完全に馴染んできた。もちろん、喜田拓也はキャプテンとして献身的にプレーしている。こうして、各ポジションに同じレベルでプレーできる選手が2人以上という層の厚さが完成したのだ。

 7月には左サイドで存在感を高めつつあった宮市亮が日本代表の活動で右ひざ前十字靱帯断裂という重傷を負って戦列を離れ、9月には西村拓真も靱帯損傷でチームを離れた。しかし、主力選手の負傷・離脱という状況に追い込まれても、それでもチーム力を落とすことなく戦えた結果、シーズンを乗り越えることができた。

 AFCチャンピオンズリーグACL)などのカップ戦も戦いながらリーグ戦の34試合を戦い抜き、リーグ戦最終盤での連敗を除いて連敗がなかったのはこうした選手層の厚さがあったからこそだ。

 前任者のポステコグルー監督が築き上げた横浜FMのサッカーを引き継ぎ、結果を出し続けながら若手選手、新加入選手の融合を進め、一体感を高めていったあたりがケヴィン・マスカット監督の手腕だったのだろう。

(2)へ続く
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