■C大阪が封じ込めた広島の強み
C大阪はまず、前線の3人(右から毎熊晟矢、加藤陸次樹、為田大貴)を高い位置に張らせることによって広島のスリーバック(右から塩田司、荒木隼人、佐々木翔)のラインを押し下げた。このため、広島は最終ラインを上げることが難しくなり、DFとMFの距離が開きすぎてしまった。
広島は、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(現、北海道コンサドーレ札幌監督)が基礎を作り、森保一監督(現、日本代表監督)がうまく運用してJ1リーグで3度の優勝を飾った当時から集団的サッカーをするチームだった。
その後、低迷していたものの、ミヒャエル・スキッベ監督の下で今シーズンは大躍進を遂げていた。
第2、第3の選手がスペースに入り込んでパスをつなぎながら攻める。そして、高い位置でプレスをかけてボールを奪ってショートカウンターを仕掛ける……。それが、広島の集団的サッカーだ。
パスをつないで攻めるにしても、高い位置でプレスをかけるにしても、いずれにしても選手間の距離を短くすることが必要になるのだが、C大阪が前線に3人のアタッカーを張らせてきたことによって、広島の布陣は前後に引き延ばされてしまい、そのため広島の攻撃が機能しなくなってしまった。
広島のもう一つのストロングポイントが両ウィングバックからの攻撃だ。だが、C大阪はこの部分にも対策を講じて広島に攻撃の起点を作らせなかった。
最前線の毎熊と為田はサイドに広く張って、広島がボールを持つと両ウィングバック(右が野上結貴、左が川村拓夢)に対してチェックをかけて、両サイドバックと協力して広島のサイドからの攻撃を封じ込んだ。