■「狙っていた」バックパス

 こうして、広島がボールを持つ時間も長かったものの、前半は広島の攻撃はほとんど機能しないままだった。20分過ぎに広島が何度かチャンスをつかんだが、この時間帯にはボランチ(野津田岳人松本泰志)がウィングバックをサポートして、サイドで数的同数(もしくは優位)を作れていたからだ。

 一方、C大阪の攻撃も単発だったので、前半45分は全体として決定機がほとんど作れない膠着状態が続いた。しかし、それでもC大阪は左サイドバックの山中亮輔や右サイドハーフの毎熊からのクロスで何度かチャンスを作っており、またスローインからもうまくつないで決定機に繋げ、やや有利に試合を進めていた。

 後半に入ってからも立ち上がりは、ハーフタイムの休息でC大阪がエネルギーを取り戻し、サイドからの攻撃の圧力を強めることに成功した。そして、53分、広島の佐々木からGK大迫敬介へのバックパスをC大阪の加藤がカットして、そのまま大迫をかわして、やや角度のないところから決めてC大阪が1点をリードした。

 佐々木の完全なミスだったが、そのミスを誘発したのはC大阪のプレッシャーだった。また、加藤が試合後に「狙っていた」とコメントしたように、DF間でのパス回しが多い広島の特徴をしっかり分析していたことが窺える。

 こうして、C大阪待望の1点が生まれた。

(2)へ続く
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