■勝負をかけるべきはドイツ戦

 9月シリーズを見た限りでは、ドイツやスペインのチーム状態は必ずしも良くない。今年のワールドカップは11月開催となったために、大会前には1週間の準備期間しか与えられず、それはどこの国の代表監督にとっても難しい条件なのではあるが、すでにチームの完成度がかなり高い状態にあることを証明した日本代表にとってよりも、チーム状態が良くないドイツやスペインにとっての方が、準備期間の不足は悩ましい条件となる。

 とくに、大会初戦で対戦するドイツはチーム状態について不安を抱えたまま日本と対戦することになる。しかも、それでも優勝を狙うであろうドイツは初戦に集中することもできない。

 日本としては、やはりこのドイツ戦に戦力を集中させて勝負をかけるべきだろう。3戦目に対戦するスペインは日本のチーム状態を観察して対策を立ててくるはずだが、ドイツは日本の情報を完全につかんでいるわけではない。一方、日本側は映像などでドイツを徹底的に分析して戦える。しかも、主力選手の多くが現在ドイツのブンデスリーガでプレーしているのだから、日本側はドイツ選手について肌感覚で理解しているはずだ。

 この試合で勝負しない選択はない。

 また、日本代表としては、前からプレスをかけたいドイツ戦では前田大然を先発させ、どうしても押し込まれる時間が長くなるだろうスペイン戦ではターゲットになる上田綺世を使うなど、相手のことも考えて選手を使い分けることが重要になる。

  1. 1
  2. 2
  3. 3