サッカー日本代表「カタールW杯3戦目のスペイン戦で活きる」東京五輪の経験【見えてきた日本代表「ワールドカップ16強」への突破口】(3)の画像
東京五輪では涙した久保らU-23日本代表だが、その経験が活きるかもしれない 撮影:中地拓也

 日本代表は、ワールドカップメンバー選考前最後となる準備期間「ドイツ遠征」を終えた。実りある時間となったが、同時に日本が本大会で対戦するチームも準備を進めている。ドイツ、スペインという強敵が相手だが、サッカージャーナリスト・後藤健生の目には今回の準備期間では突破口も見えてきた。グループステージを突破し、まずはラウンド16へ到達するのに必要なものとは――。

■参考になるスイスの守備の切り替え

 ドイツに対しては前線からのプレスで高い位置でボールを奪ってショートカウンターという戦法が有効だろうが、スペインに対してはなかなかハイプレスは効かないだろう。なにしろ、パスをつなぐ技術ではスペインは世界最高峰である。

 UEFAネーションズリーグでスペインを破ったスイスは、キックオフ直後はスペインに対して高い位置からプレスを仕掛けに行った。実際、スイスのプレスは有効なようにも見えたのだが、スペインはそのプレスをかいくぐってMFのセルヒオ・ブスケツにつないだ。そして、ブスケツが左右に展開することでスペインは何度かチャンスを作りかけた。

 すると、スイス側はすぐに守備の仕方を変更し、4-2-3-1のトップ下にいたジブリル・ソウがブスケツをマーク。ソウがポジションを変えた場合にはワントップのブリール・エンボロがソウに代わってブスケツを監視した。そして、高い位置からプレスをかけるのを諦めて、全体にコンパクトなブロックを作って守る方法に切り替えたのだ。

 試合開始から10分過ぎには守り方を切り替えたのだから、おそらくスイスは最初から構えて守るやり方を準備していて、キックオフ直後だけ高い位置でのプレスを試みたのだろう。

 そして、スペインはスイスの守り方に苦しんだ。

 ボール保持率は75%に達したものの、シュート数は8対8と同数。前半21分にCKからスイスに先制を許し、後半に入ってマルコ・アセンシオのロングドリブルからサイドバックのジョルディ・アルバが決めて同点に追いついたものの、直後に再びCKから失点し、ホームでの敗戦という屈辱を味わうこととなった(ボールポゼッションで上回ったスペインがカウンターから得点したことも皮肉な結果)。

 ボールは持てるものの、相手のブロックの外でパス回しに終始したスペイン。この日は、アセンシオをFWに置いた、いわばゼロトップだったが、ウィングに入ったフェラン・トーレス(右)、パブロ・サラビア(左)に怖さがなかった。

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