■スペインには守備を固めてカウンター

 この結果を受けて、ルイス・エンリケ監督はポルトガル戦ではトップにCFタイプのモラタを起用するなど、先発を7人も入れ替えた(2試合とも先発したのはGKのウナイ・シモン、CBのパウ・トーレス、そして両ウィングのフェラン・トーレスとサラビア)。

 しかし、最初に述べた通り、引いて守るポルトガルを相手に、やはりボールは持てるものの崩すことができず、あわやスコアレスドローでファイナル4進出を逃すところだった。

 日本代表も、スペインと戦う場合にはハイプレスをかけにいくより、構えて守る方が得策なのかもしれない。というより、スペインの技術力を考えれば、日本側の意図とはかかわりなく、スペインにボールを持たれる展開になることは間違いない。

 日本代表は、こうした試合展開は2021年の東京オリンピックの準決勝ですでに経験している。

 スペインにボールを持たれて守りに回る時間が長かったものの、日本の粘り強い守備でスペインは得点できずに延長戦に入り、準々決勝のニュージーランド戦でも延長を戦っていた日本選手の足が止まり始めた延長後半の115分にアセンシオに決められて日本は涙を呑んだ(スペインも準々決勝では延長を戦っていたが、スペインは大幅にターンオーバーを使っていた)。

 もちろん、この試合はオリンピック・チーム同士の戦いだったが、オーバーエイジで参加した吉田麻也酒井宏樹遠藤航を含めて多くの選手がこの試合を経験したし、スペイン側もGKのウナイ・シモンやアセンシオをはじめ、パウ・トーレス、ペドリ、エリック・ガルシアなど現在のフル代表メンバーが多くプレーしていた。

 従って、スペインにボールを持たれるにしても簡単に失点をせずに、カウンターから得点を狙う戦い方で勝機を見出だすことはできるかもしれない。吉田、冨安健洋のCBの前に遠藤、守田英正を置く日本の中央の守備力は高い。また、スペインは高さはないので、相手のウィング封じのためには長友佑都に期待できるかもしれない。

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