■左右に振られた攻撃に対応できず

 しかし、その13分後に同点に追いつかれる。名古屋のCKを一度は弾いたものの、それを稲垣祥がダイレクトで合わせると、ボールは人の密集を縫うようにしてゴールイン。無情な同点弾が決まってしまった。

 セットプレーからの不運な失点ではあるが、流れとしては妥当な部分もあった。左右に振りながらのホームチームの攻撃に前半以上に対応が間に合わなくなっており、左の大外に張る相馬勇紀、右で上下動を繰り返す森下龍矢に手こずる回数は増えていた。また、そこにボールを供給する藤井陽也を封じることもできず、後半は流れが名古屋に傾いていた。結果的にセットプレーからの失点ではあったが、赤いユニフォームが繰り出すサイド攻撃がボディブローのように効いた末の結果だった。

 この日、別の会場で行われていた横浜F・マリノスの試合は、ホームチームの京都を相手にアウェイチームが競り勝ったために川崎と首位チームとの勝ち点差は広がってしまった。

 川崎は中2日、横浜FMは中3日で次節を迎える。本来、川崎は1週間の間隔をもって戦えるはずが、それが2日になったばかりか、首位争いをするチームよりも悪条件で戦わなければいけない。

 試合後、サポーターは「正々堂々戦ったチームを誇りに思う」と横断幕を掲げた。それを見て、胸が痛む人がきっといるはずだと願いたい。

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