■家長の先制点の伏線
いったん押し込んで相手陣内でのプレーが長くなれば、ゲームの様相は一変する。
つまり、それまではロングボールを使って相手を押し戻そうとしていた川崎が、相手陣内でパスをつなぐ攻撃に切り替えたのだ。
相手を押し下げるために最も有効だったのが左サイドのマルシーニョだったためか、この試合の川崎の攻撃の正面は左サイドだった。
久しぶりに左サイドバックで先発した佐々木旭が力強さを身に着けて、すっかり成長した姿を見せた。そして、サイドアタッカーのマルシーニョには橘田健人やジョアン・シミッチがサポート。さらに、家長も再三にわたって左サイドに顔を出して、パスをつないだ攻撃を展開。クリアされてもすぐにセカンドボールを拾って、何度もこのサイドからの攻撃を繰り返した。
そして、34分にはマルシーニョがペナルティエリア内の深い位置に入れたグラウンダーのパスを追った佐々木が折り返した。その瞬間、広島のDF陣は川崎側から見た左サイドにすっかり意識を寄せられてしまっており、逆サイドにいた家長が決めて川崎が先制。その後も、ハーフタイムまでの10分間、川崎は何度も何度も決定的なチャンスを作っていた。